理学療法士が訪問看護ステーションを立ち上げる
開業権が無い理学療法士の起業方法として、訪問看護ステーションを立ち上げるという事は少なくありません。
一方で「訪問看護ステーションの看護師割合が6割以上を満たす」ことで算定可能な加算が設けられ始めるなど、リハビリ職には風当たりが強い傾向にあるもの事実です。
理学療法士が訪問看護ステーションを立ち上げるメリットとデメリットについてご紹介します。
開業のメリット
『売上の安定化』
訪問看護ステーションからのリハビリケアは、ケアマネージャー等の認知度も高く依頼も比較的来やすい傾向があります。
在宅ケアにおいて個別でのリハビリを受けられるというステーションは重宝されます。
看護師の枠よりも理学療法士の枠が埋まるということも少なくない為、早い段階で売り上げを安定させることができます。
また、病院と違って1週間あたりの単位取得制限がありません。
『初期投資費用が少なくて済む』
既に人材がいれば訪問看護ステーションの初期費用はほとんどかかりません。
事務所や車両、物品や電子カルテがあれば訪問看護ステーションは開設できるので、数百万円で開業することもできます。
経営が軌道にのってくれば、投資分の回収も早く規模の拡大やデイサービスの併設など、次のステップに進みやすくなり、ただステーションを立ち上げるだけでは無く、その後新しい展開を考えているという理学療法士にとって大きなメリットになります。
訪問看護ステーションで起業して、軌道にのってきたところでデイサービスを立ち上げるという流れを取る理学療法士の経営者は増えてきています。
開業のデメリット
『看護師人材不足』
訪問看護ステーションの主役は看護師です。
訪問看護ステーションには管理者を設置することが条件で、看護師しか管理者になることができません。
また、常勤換算で2.5人以上の看護師が必要であり、看護師を3名以上常に雇用する必要があります。
この雇用を維持することはとても難しい問題です。
『看護師をフォロー出来ない』
緊急の対応や急な退院など、訪問看護師は忙しくなってしまいがちです。
そんな状況でも、理学療法士が訪問看護師の代わりに訪問に行ったり、待機の当番を代わることは出来ません。
結果、看護師の疲労や、場合によっては退職につながってしまうこともあります。
『営業が難しい』
基本的に、訪問看護ステーションは医療機関や居宅介護支援事業所に営業に伺います。
医療機関においては、看護師の方が対応してくれますので「医療機関の看護師に理学療法士が訪問看護ステーションの営業をする」という形になり、これが思いのほか難点となります。
医療機関への営業は看護師に任せ、理学療法士はケアマネージャーのいる居宅介護支援事業所に営業に行くということが多くなりますが、結果、居宅介護支援事業所からの依頼が多くなる=介護保険での利用者が多くなるということもあります。
まとめ
理学療法士が訪問看護ステーションにおいて、主役にはなれないかもしれませんが、信頼のおける管理者がいれば、立ち上げるメリットはより大きくなります。