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訪問看護の実地指導とは【担当者は何を見る?】

そもそも実地指導とは?

実地指導とは、都道府県や市区町村の担当者が、事業者の育成と支援を主に、制度管理と保険給付の適正化、ケアの向上につなげることを目的として訪問看護・介護事業所の適正な事業運営が行われているのかを確認することをいいます。
指定の期間中に1回は行われます。

・事業の運営が指定の基準を満たしているか
・報酬が適切に算定、請求されているか

などを書類やデータといった記録に基づいて確認します。

 

書類をしっかり作成しましょう

実地指導は書類やデータ等の記録に基づいて行われるため、日常の業務で記録している各種帳票をしっかり作成することが大事です。
例として、『訪問看護記録書Ⅰ』は厚労省によって記載しなければならない項目が示されており、その項目に沿ってアセスメント記録を取るように指示がされています。

=訪問看護記録書Ⅰの所定項目例=
・訪問看護の依頼目的
・初回訪問年月日
・主たる傷病名
・既往歴、現病歴
・療養状況
・介護状況
・緊急時の主治医・家族等の連絡先
・指定居宅介護支援事業所の連絡先
・その他関係機関との連絡事項

作成された書類がちゃんと条件や指示を満たしているかという部分も重要となります。

 

情報の管理

求められた書類や情報をスムーズに出すことは実地指導において予想外に苦戦しがちなポイントです。

普段からわかりやすく整理して情報を管理し、「どの情報がどこに記載されているか」「どの書類がどこに保管されているか」などしっかり把握しましょう。

 

実地指導は何を見るの?

都道府県、市区町村どちらの指導においても必ず確認する項目が「加算」です。
今回は介護保険加算のいくつかを説明します。

ターミナルケア加算
ターミナルケア加算は事前に届け出の必要な加算で、死亡日・死亡日前の14日以内に2日以上ターミナルケアを要介護者に行った場合、その方の死亡月に2000単位加算できるというものです。
注意点として、利用者が要支援者の介護予防訪問看護の場合は対象外となります。
又、最後に訪問した際の医療保険又は介護保険にて加算を算定することになります。

厚生労働大臣が定めるターミナルケアの基準は、

・ターミナルケアを受ける利用者に対して24時間連絡がとれる体制を確保しており、かつ、必要に応じて訪問看護を行うことができる体制を整備している
・主治医との連携の下、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画及び支援体制について利用者・ご家族等に対して説明を行い同意を得てターミナルケアを行っている
・ターミナルケアの提供について、利用者の身体状況の変化等必要事項を適切に記録している

以上の様になっています。

実地指導で確認される際には、訪問看護記録書Ⅰ・Ⅱに以下の項目が明記されているかを見ることがあります。

・終末期の身体状態の変化、それに対する看護の記録
・療養、死別に関する利用者とご家族の精神的な状態の変化や、それらに対するケアの経過記録
・看取りを含むターミナルケアの各プロセスに対して利用者とご家族の意向を把握し理解を頂いている旨の記載
・利用者とご家族の意向に基づいたアセスメントや対応の記録

上記を意識して日頃より記録などをしっかりとっておくことが大切になります。

 

退院時共同指導加算
主治医の所属する保険医療機関に入院中、または介護老人保健施設に入所中で、退院・退所後に指定訪問看護を受ける利用者かそのご家族に対して、退院・退所後に訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)と入院・入所施設の職員(医師、看護師、医師or看護師の指示を受けた准看護師)が、在宅療養での指導を入院・入所施設にて共同で行い、その内容を文書で提供した場合に、原則月1回算定できる加算です。

退院時共同指導加算は、訪問看護ステーションと病院との共同で指導を行い、その内容を文書で提供することが要件になっています。
実地指導の際は「退院時共同指導カンファレンスの記録」の提示を求めれる可能性が高い為、準備しておきましょう。
また、該当の利用者が特別管理の状態でない場合、他の訪問看護ステーションが退院時共同指導を実施していないかを確認しておくとよりスムーズです。

人員基準や勤務、サービス提供記録

新規開業から1年以内に多くの事業所が実地指導を受けることになりますが、最も留意する必要があるのが『看護職員として保健師、看護師又は准看護師が常勤換算で2.5人以上必要』という人員基準です。

必要な資格を保有しているか、常勤換算での基準を満たしているかなど確認します。
人員基準は、タイムカード、勤務表、サービス提供記録などで確認されるため、人員が少ない事業所の場合、人員基準不備で指摘を受けてしまうことも……

指定申請時に指名を記載した方が指定日から仕事に従事していない場合は、虚偽の指定申請として指定取消となってしまうケースもありますので、指定申請時の人選は慎重に行いましょう。