ステーションは増加中でも…
昨今、その需要の高さから、訪問看護ステーションの数は著しく増加傾向にあります。
その反面、休止・廃止しているステーションが多いというのも事実であり、開業したステーション数に対して約半数が同時に休止・廃止しています。
では、なぜ訪問看護の需要は高まっているにも関わらず、経営がうまく行かないステーションが多いのかについてご説明します。
必ず人を採用しなければならない
中小企業の場合は、事業が軌道に乗るまでひとり社長で会社を経営、安定してきたところで人を雇っていくといった流れをとることも珍しくありません。
ですが、訪問看護ステーションは「人員基準」の問題がある為、そういったひとり社長経営はできません。
常勤換算で2.5人以上の看護師を必要とする基準がクリアできないと、開業すらできない為、多くの訪問看護ステーションの経営者が人材確保に奔走することになってしまいます。
人材選びを軽視しがち
前述のように、訪問看護ステーションを開業するには、実務経験のある看護師を探す必要があります。
開業させることが目標になってしまうと、人間性を重視した人材採用ができず、せっかく開業した後にトラブルが多く大量離職、といったことも起こり得ます。
人件費が高額に
看護師はもちろん、保健師、医療系資格者を何人も雇用する必要がある訪問看護ステーション。
その分、給料も高めになってきます。
場合によっては、期待した働きぶりではなくても、人員基準や利用者のことを考え雇用し続けるという状況になってしまうこともあり、サービスの質に悪影響を及ぼしてしまいます。
ステーションの存続だけを考えていると、人員は足りているが事業が成り立たない、という事態に陥ってしまう危険があります。
よく知っている人を雇用したら…
昔同じ職場で働いていた人、仕事ぶりをよく知っている人を雇用できれば安心!と考える方もいるかもしれませんが、上司と部下の関係が崩れやすく、トラブルの際もついスルーしてしまいがちになり、他のスタッフの不満につながってしまったり、知り合い同士のスタッフをそろえてしまったことによって、まとめて離職するケースが発生したりというリスクもあります。
まとめ
一度人材選びに失敗した事業所は、同じ失敗を繰り返す傾向にあると言われています。
資格や経験年数などの表面的な情報だけでは適性を判断できません。
新規ステーションの場合は特に、早く常勤換算の基準をクリアして指定申請をしなければという焦りが出やすく、採用されたスタッフも「指定申請をパスする為の頭数なのかな」と感じてしまい、事業所への信頼がなくなってしまうということも有り得ます。
収益の見通しが立たない中、多額の人件費を投じることには大きな不安があるかもしれませんが、前述のようなことが発生してしまわないよう十分注意して開業を進めましょう。