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人材採用

職業病?訪問看護師の腰痛対策

腰痛になるのは当然?

訪問看護師にとって腰痛はもはや職業病ともいえる症状です。
利用者のご自宅でケアを提供する訪問看護は、動線が限られた状況で様々な労働を行うことになり、結果腰痛になってしまいがちです。

今回は訪問看護において、腰痛になりやすい状況やその対策をご紹介します。

腰痛になりやすい状況

訪問看護師には、その業務の特性上、

・ベッドが壁側に寄っていて片方から各種ケアを行う
・ベッドの高さが調整できない
・利用者が敷布団で寝ている
・お湯の入ったバケツなど重いものを人力で運搬する
・上のような各種作業を一人で行う必要がある

といったような『腰痛につながる要素』がたくさんあります。

訪問看護師にとって、不自然な姿勢や中腰で利用者を抱え上げる等の作業、ベッドの上で中腰で行うケアが腰痛につながりやすい状況になります。

利用者の生命や健康に直接かかわる作業が多い訪問看護の業務特性上、利用者を優先するあまり看護師自身の姿勢や作業しやすさを犠牲にしがちとなってしまうことが少なくありません。

また、看護師一人での訪問という状況が、良くない姿勢をとっていても正すことを後回しにしがちにしてしまうということもあります。

行うケアサービスの作業自体と、心理的な要因とが訪問看護師の腰痛を引き起こす原因と言えます。

腰痛を予防しよう

厚生労働省の「医療保険業の労働災害防止(2015)」によれば、腰痛の発生要因として
・重量物取り扱い
・福祉用具の整備
・不自然な姿勢
・人力による抱え上げ作業
・長時間の静的作業姿勢
・急激または不用意な動作
という内容が挙がっています。

訪問看護師の腰痛予防の為に、まずは以下のポイントを意識しましょう。

・作業&動作スペースをしっかり確保
・一人での対応が厳しい場合は助けを呼ぶ
・福祉用具の導入
・移動ルートが過酷な場合は管理者に相談
・悪い姿勢は数秒にとどめるよう意識

まとめ

海外では人の手で行う移動技術によって発生する看護師の腰痛問題にいち早く対策を講じています。
具体的には、イギリスでは1983年にすでに「マニュアルリフティング(人の手によって移動する)」を原則禁止としており、1992年には人が持ち上げる重量を25kgに制限することで、リフターの導入が普及しました。

日本においても2013年に厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」を改定、「原則として人力による人の抱き上げは行わせない」「リフトなど福祉機器の活用を促す」という項目を明示しました。

2021年4月の介護報酬改定においては、「特定処遇改善加算」の要素となる「職場環境等要件」によって求められる内容が6つの区分に増えました。
各区分ごとに1つ以上の施策の実施が必須とされ、「腰痛を含む心身の健康管理」という項目も含まれているため、国内の訪問看護業界においてもノーリフティングケア推進が進んでいくと思われます。