家族は一番身近なケア提供者
利用者にとってご家族は一番身近なケア提供者となる場合が多く、訪問看護等の各種サービスを利用されたとしてもご家族には様々な役割を求められる為、負担や精神的なストレスも増えてしまうというのが事実あります。
ご家族への負担が増加することで、利用者自身の在宅療養を継続することが困難になってしまうというケースもありますので、訪問看護師は、ご家族が現状どのような役割を担っているのかを把握して、その負担を軽減するサポートを行っていくことも大切になります。
今回は、利用者ご家族の主な役割とは何かについてご紹介し、それぞれの対応についてを考えていきたいと思います。
日々のケアを行う
利用者が朝起きてから夜寝るまでの食事、排泄などの介助等、日々のケアについてはご家族が対応することが求められます。
たとえご家族でも心身共に負担がかかるケアであり、訪問看護や介護サービスを利用して負担の軽減を図ることもあると思います。
ですが、必要以上に社会資源を導入してしまうと、そもそもご家族の介入を阻害してしまい、効力感を得られない、必要なサービス内容に足りず逆に家族が疲弊してしまう、ということもあります。
丁度良い介入でケアサービスを利用することが大切ですが、その加減というのは利用者の病状などによっても変化する為、現状に対して適切なケアプランをとっているかということを考え、ケアマネージャー等と連携をとることが大事です。
変化に気付き、対応する
利用者が痛みを訴えたり、発熱などといった症状が出た場合にかかりつけの医師や訪問看護師に相談し、指示を仰ぎ対応したり、点滴の管理や吸引等も必要時は対応するなど、病院では看護師が行う役割を在宅療養ではご家族が担うことが求められます。
訪問看護師としては、利用者に発生しそうな症状変化やトラブルについて事前に予測し、その対応方法についてをご家族と共有しておくことが大切になります。
緊急事態が起きた場合は誰でも焦るものですが、予測できているのといないのとでは気持ちの余裕が大きく変わってきます。
ご家族の技術面においては、訪問頻度を上げて指導する、ペーパーにまとめておく等の方法で対応しましょう。
利用者の代理意思決定者
利用者自身が意思表示困難という場合、治療の方針や療養する場所についての選択などは、ご家族が代理で意思決定することになります。
利用者がどんな生き方をして、どのような価値観を持っていたのかについて最もよく理解しているのはご家族になりますが、とはいえ代理での意思決定を行うことはご家族にとって心理的に大きな負担となります。
訪問看護師としては、訪問時にご家族が意思決定を行う為の選択肢の情報を説明したり、後にその決定を変更することもできることなどを伝え、ご家族の意思決定に寄り添う姿勢をとることが大切です。
通常の訪問以外に、ご家族との話し合いをするための訪問を増やしたり、他職種を含めた話し合いの場を設け、意思決定を支援することもできます。
まとめ
利用者はもちろんですが、そのご家族もケアの対象者であり、訪問看護師としては同様にサポートを行うことを忘れずに意識しましょう。