在宅での医療依存度
病院療養から在宅での療養となった利用者の重症度は上がっている傾向にあり、訪問看護師としては今後医療依存度の高い利用者を受け持つことが増加するでしょう。
訪問看護師として人工呼吸器を装着されている利用者のケアは心理的にも負担が大きく、利用者のご家族も不安がある場合が多いため、今回はそれらを軽減する為にも知っておきたいポイントをご説明します。
設定を理解し操作に慣れる
呼吸器疾患、呼吸障害のある利用者に対しての生命維持介入に用いるのが侵襲的人工呼吸器です。
”侵襲的”とは、人工的に気道を確保するため、口や鼻から気管へチューブを挿入する方法や、気管を切開し、直接チューブを挿入する方法があります。
侵襲的人工呼吸器にはモードによって設定項目や観察項目が違ってきます。
入院等で設定を変更された場合、初回のケア介入時には、人工呼吸器の設定がどうなっているのかをしっかり理解しましょう。
人工呼吸器自体に触れることへの抵抗感を減らすためにも、レンタル会社へ操作の勉強会を依頼し、スタッフ全員で事前に人工呼吸器に触れてみたり、観察項目のレクチャーなどを受けて置けば、より心理的な負担を軽減できるでしょう。
チェックシートを作成
人工呼吸器の観察項目である換気量、吸気圧、気道内圧、呼吸回数などを記録として残せるようチェックシートを作成して訪問の記録として残すことで、通常時の数値がわかって異常に気付きやすくなります。
回路交換や主電源の確認など、定期的な確認が必要な項目についてもチェックシートに追加しておくことで、より確実に観察を行うことができるでしょう。
緊急時の対応についてご家族に指導
停電やカニューレの事故抜去など、訪問看護師が不在の際に起こりかねないトラブルがいくつか想定されます。
医師や訪問看護師が利用者宅に到着するまでにはどうしても時間がかかってしまう為、カニューレ再挿入のやりかた、バックアップ電源へのつなぎ変え、蘇生バックの使用法などをシミュレーションし、事前にご家族に指導することが大切です。
病院でそれらの指導を受けていたとしても、自宅での環境において再度行うことで、ご家族はもとより訪問看護師自身も緊急事態に焦らず対応できるでしょう。
まとめ
人工呼吸器には様々な機種、機能があり複雑化しているのが現状です。
ですが基本的な必要知識と緊急時に求められる対応については共通しています。
操作に慣れることで人工呼吸器は呼吸アセスメントを行う上で強い味方にもなり得ます。