容態の急変
訪問看護における緊急の場合ときいて真っ先にあげられるのは「急変」だと思います。
急変とは予測されていない変化が突然起こること、多くの場合は心肺停止、意識障害、胸痛や腹痛、吐血などです。
予測が困難な場合でも、利用者の特長や現在の容態から、発生し得る急変を想定し、予防と対応について体制を整えて置くことが大切です。
以下に想定される緊急事態の例を挙げます。
緊急事態
・意識レベルの低下や循環不良
・認知機能が低下した利用者の徘徊や行方不明
・せん妄など精神的な興奮状態
・ショックバイタル時
・リハビリ中の急変
緊急時の対応に慌てない為にも事前に以下の内容を準備しておきましょう。
【利用者の状況を把握】
・健康状態や予測されるリスクなど
・生活状況
・当日の顔色や熱感など
【マニュアルの整備と情報共有】
・緊急時用のマニュアル作成
・スタッフ間での情報共有
・利用者の各種記録類の整備
緊急事対応マニュアル
利用者の急変時には状態の観察と迅速な対応が求められます。
より詳しい情報を的確に把握するためにも以下の内容を踏まえたマニュアルを作成しておくと良いでしょう。
【確認事項】
①意識状態の確認
意識がない、反応が鈍いなど。
②呼吸状態の確認
呼吸をしていない、呼吸が早い・遅いなど。
③誤飲や異食
口腔内の異物の有無、飲食した物とその量など
④転倒や転落の確認
出血や打撲の部位とその程度、意識など
⑤発熱の確認
体温、発汗状態、下痢や嘔吐の有無など
⑥嘔吐の確認
嘔吐物の色・形状・量など
⑦吐血・下血の確認
色や量、その回数など
⑧頭痛に関する確認
痛みの度合い、吐き気・しびれ・麻痺・言語障害などを伴っていないか
⑨胸痛に関する確認
痛みの度合い、脂汗や冷や汗、痛みの時間、脈拍など
⑩腹痛に関する確認
下痢や便秘をしていないか、排尿の状況など
⑪熱傷の確認
熱傷の原因、部位と大きさなど
オンコール
多くの訪問看護ステーションでは24時間対応のオンコールを行っています。
オンコール電話がなっても、多くの場合は電話相談で済むことが多いというのが実情ですが、担当する訪問看護師は、しっかりと相手の相談内容を聞き、訪問する必要があるかを判断する必要があります。
また緊急時にどういった対処をするかを事前に利用者とそのご家族と相談しておくことも大切です。
なかには「ぜったいに入院はしたくない」といった利用者もいる為、かかりつけ医やご家族との連携をしっかりとっておくことが重要になってきます。