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人材教育

訪問看護のクレーム対応②【対処と予防】

前回は『訪問看護のクレーム対応①【よくある原因】』についてをご紹介しましたが、今回はその対応と予防についてをご説明していきたいと思います。

クレーム発生時はすぐ対応

クレームは『苦情』ではなく『利用者の心の声』そのものです。
適切に対処できないと訪問看護事業所自体の信用を失うだけではなく、不信感やバッシングの対象となってしまう恐れがあります。
一方で適切な対処を迅速に行うことで、より一層強い信頼関係を築くこともできます。

クレーム対応①『謝罪する
どちらに非があるとしても、クレームが発生するということは利用者に不利益なことが発生していることに間違いありません。
ですので、まずは不快な思いをさせてしまったことについて謝罪する必要があります。
クレーム内容が分かっている場合は、より具体的に謝罪することで、より相手に気持ちが伝わりやすくなります。

クレーム対応②『傾聴する
謝罪をしっかりとした上で、クレーム内容はどういったものなのかを傾聴し原因を追究していきます。
クレームを訴えてきている利用者は感情が高ぶり、こちらの話が届かないというケースが多く、したがって、相手がどういった部分に不満を感じ、不快に思っているのかという内容をしっかりと聞き出すことが必要です。

クレーム対応③『アセスメント
利用者の話を傾聴し情報収集を行った上で、クレームの原因は『訴えてきた事象そのものを解決してほしい』なのか、『ただ謝罪してほしい』といった自己中心的な要求なのかをアセスメントしましょう。
アセスメントの結果導きだした結論を、相手の気持ちも考慮しながら自身の主張として伝えましょう。

クレーム対応④『解決策を一緒に考える
クレームを訴えてきている相手に対していくら合理的かつ謙虚に話をしてもなかなか納得してもらえない場合があります。
そういった場合は、『相手と一緒に問題を解決する』という姿勢が有効です。
相手も巻き込んで解決策を考えることで、相手にとっては「自分が考えた解決策」となるため納得する場合が多く、その後のクレームにもつながりにくくなります。

クレーム対応⑤『感謝を伝える
最後に重要な対応は、クレームに対して感謝をすることです。
クレームを受ける側としては内容によって非常にストレスを感じることもあると思いますが、そこをこらえて、「改善できる点をご指摘いただきありがとうございました」と感謝の意を伝えることによって、印象を良くすることができます。
クレーというのはよっぽど理不尽なケースを除いて、改善点をご指摘いただいているという側面があります。
感謝を伝えるということは印象を良くするだけでなく、本当にそう思うことでご自身のストレス軽減にもつながります。

クレームの予防

利用者が不満を感じ、クレームを申し立てる際は、感情的になっている場合がほとんどで、どんなに適切な対応をしても聞く耳を持ってもらうことができない時もあり、場合によっては、理不尽な内容のクレームが寄せられることもあります。
クレームをなくすことは難しいかもしれませんが、事前の対策でクレームを減らすことができます。

体制を作っておく
実際にクレームが発生した場合、「どのようにクレーム処理をしていくか」、「責任者として誰が対応するのか」など日頃からクレームに関する取り決めを行っておきましょう。
また、「一次対応でできること・できないこと」とその権限などについても、事前に基準を設けておくとスムーズに対応できます。

利用者への対応を事業所内で統一しておく
訪問するスタッフ全員が同じ対応を行うということが訪問看護を行う上で重要となります。
「AさんはやってくれたのにBさんはやってくれないの?」という場合、利用者が不満を持つ原因となってしまいます。
細かなことではありますが、「利用者からお茶を出されたら」「訪問看護以外のサービスを頼まれたら」「時間を過ぎても引き留められたら」などの対応方法を事前に事業所内で統一しておくことが大事です。

クレームはホウレンソウ(報告・連絡・相談)
クレームを一次対応する担当者が一人で完結させるという体制は良くありません。
必ず上司や他のスタッフとホウレンソウ(報告・連絡・相談)を行い内容を共有しましょう。
報告の際、一次対応者は事実だけを報告するように日ごろから指導しておくことが効果的です。
結論から先に伝えるなど、報告の方法を徹底させておくと、事実確認の質も向上することにつながります。
また、責任者は受けた報告を鵜呑みにせず、事実をきちんと確認し把握しましょう。

まとめ

利用者からのクレームはネガティブでマイナスなものと捉えるのではなく、信頼関係を構築する機会、改善点を発見する機会と捉え、プラスに転換し適切な対応をすることができるチャンスです。