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パーキンソン病について知ろう

パーキンソン病とは神経難病の中でも最も患者が多く、また研究も進んでいる疾患のひとつです。

パーキンソン病とは

中脳の黒質から分泌されるドパミンという物質の量が減少し、運動の調整ができなくなる病気です。

人口10万人あたり100~120人の患者がおり、発症年齢は50~60歳代、日本においては男性より女性の方が多い傾向にあります。

主な症状

パーキンソン病には運動症状と非運動症状の症状があり、

運動症状は、「振戦(ふるえ)」「固縮」「寡動・無動」「姿勢反射障害(ころびやすくなる)」の4つが主な症状です。

非運動症状は自律神経障害、精神症状、睡眠障害などがあります。

パーキンソン病の重症度は以下のように分類されています。

I度:身体の片側のみに障害があり、日常生活への影響はほとんどない
II度:身体の両側に障害がみられるが、日常生活への介助は不要
III度:明らかな歩行障害があり、バランスを崩し転倒しやすい
IV度:日常生活の動作が自力では困難であり、その多くに介助が必要
V度:車椅子またはベッドの上で寝たきりであり、日常生活の全面的な介助が必要

パーキンソン病患者の看護

重要なポイントは、低下する身体機能に伴った日常生活動作の援助と精神的なケアを行うということになります。

【生活の援助-歩行】
すくみ足、突進歩行(前のめりになり、急に小走り状態で、何かにぶつかるまで自分の意志で止まることができない症状)、小刻み歩行など、非常に転びやすいというのがパーキンソン病患者の歩行の特徴です。

歩行リズムを声掛けしたり、床に線を引いて目印をまたぐといった聴覚・視覚に対する手がかりを活用することが効果的です。

また前かがみになりやすいため、たえず姿勢を直すよう声掛けすることも大切です。

付き添い歩行や車椅子の使用など対処をしましょう。

【生活の援助-誤嚥防止】
パーキンソン病患者の全体の半数以上の方が嚥下障害になると言われており、誤嚥性肺炎はとても起こりやすい合併症です。

食べ物は飲み込みやすい形にする、食事の際の姿勢に注意する、口周りのリハビリをするなどを心掛けると誤嚥防止になります。

【精神的ケア】
パーキンソン病は進行性の病気であり、不安感や絶望感を感じてしまうことは少なくありません。

まずは患者自身が病気についてよく理解することが大切です。
身近な人に話を聞いてもらうことや、趣味、外出など楽しむこともストレスを減らし前向きな姿勢になることにつながります。

パーキンソン病の治療目標

パーキンソン病の治療目標は治すことではなく症状の緩和になります。

病状や生活状況に合わせて、こまやかな内服の調整が必要になるため主治医に適宜相談しましょう。

病気になったことに対して不安はあると思いますが、症状にこだわらず、病気や薬の理解を深め、身体的にも精神的にも、社会生活を豊かに保つよう心がけることが大切です。