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緩和ケアとターミナルケアについて

緩和ケアとターミナルケア

まずターミナルケアは「死に方」についてのケアであるのに対して、緩和ケアは「生き方」について注目するケアであるという違いがあります。

WHO世界保健機構の定める緩和ケアの定義として「生命を肯定し、死にゆくことを自然な過程と捉える」というものがあり、どう生きていくか・どう生きたいかを改めて考えることが緩和ケアの最初のステップになります。

一方で、安らかな最期を過ごしたい方に向けたケアがターミナルケアです。

ターミナルケアに関してはWHOが定めるような国際的に認識された定義が無いため緩和ケアと混同されがちです。

日本医師会においてはターミナル期を「治療方針を決める際に、患者はそう遠くない時期に死に至るであろうことに配慮する」という時期だと定めています。

ターミナルケアは、苦痛なく最期を迎えるかについてをメインに考えたケアで、延命を目的とせずに痛みや苦しみを取り除き、恐怖を和らげて安らかな最期を迎えられるようサポートします。

緩和ケアとターミナルケアの違い

【開始時期の違い】

ガンと診断されたその時点から始まるのが緩和ケアであるのに対して、人生の最期が近くなってから始まるのがターミナルケアです。

『緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に同定し、適切な評価と治療によって苦痛の予防と緩和を行うことで、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである。』

このようにWHOは定義しています。

ケア内容について

治療方針の決定がターミナルケアの最も重要なポイントになります。

厚生労働省発表の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、

『本人の意思の確認ができる場合は、本人による意思決定を基本とする。
本人の意思の確認ができない場合は家族等が本人の意思を推定できる場合にはその推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、 本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。』

上記のように記されています。

関連するケア

【看取りケア】

自宅・施設などにおいて、死期が近い方が受けるケアです。

意識がない場合も最期まで意思疎通をはかって必要な身体的ケアを提供するというものです。

【ホスピスケア】

緩和ケアのように、病気による痛みを取り除いて穏やかに最期を迎えることを目的としたケアです。

【エンドオブライフケア】

年齢、健康状態などを問わず「命の終わり」について考える方が、最期の瞬間までしっかりと自我をもって生きることを可能とするケアです。