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人材教育

認知症患者による暴言・暴力について(前編)

認知症による暴言・暴力

認知症の方は、病気の進行によって攻撃的な言動をとるようになってしまう方がいます。

今回は「なぜそうなってしまうのか」とそういった方にどう接すればよいのかについてご紹介したいと思います。

暴言や暴力の原因

全ての認知症の方が攻撃的になるというわけではありません。

こういった状態になってしまう原因は、ひとつのきっかけで起こるわけではなく、様々な理由が重なってそのような状況に発展してしまうというケースが多くあります。

【脳の機能低下】

脳の機能が障害によって低下し、感情の抑制・気持ちの表現が難しくなってしまうことがあります。

健常者であれば抑えられる怒りや不安の感情が抑えられなかったり、その気持ちをうまく伝えることができない為、暴言や暴力といった形になってしまう場合があります。

人格の変化、攻撃的な行動は認知症によって引き起こされているのだと理解することが大事です。

『前頭側頭型認知症』

前頭葉や側頭葉が委縮して発症する認知症で指定難病のひとつです。

言語障害や行動の異常以外に、人格の変化を伴うという特徴がありますが、刺激に対する抑制が効かず、本能の通りに行動するようになってしまうのが原因です。

認知症の初期症状で、このような言動をとっていても患者自身は罪悪感を感じません。

いままで穏やかだった方が、発症によって人が変わってしまった、というケースがあります。

『脳血管性認知症』

アルツハイマー型認知症の次に多い認知症です。

脳出血、脳梗塞といった脳の血管の病気によって、酸素や栄養が送られず脳細胞が死滅、脳本来の機能が失われ発症します。

このタイプの認知症の特徴として感情失禁があげられます。

感情のコントロールができず、怒りや悲しみといった感情が現れやすくなります。

 

【身体の不調】

認知症になると感情を表現するのが難しくなりますが、同じように不調や痛みを伝えるのも難しくなります。

痛かったり苦しいという症状に対して、通常であれば薬を飲もう、病院へ行こうといった考え方や行動をとりますが、認知症になるとそれらが上手にできなくなってしまい、結果暴言や暴力といったリアクションをとってしまいます。

 

【服薬の影響】

認知症の症状進行を抑える薬による対症療法がおこなわれますが、その副作用で症状が強く表れることも有ります。

複数の薬を服用することで、飲み合わせが悪く暴力や暴言につながることもあります。

 

どんな時に暴言や暴力が出るのか

認知症の患者が暴言や暴力といった行動に出る要因は様々で、認知症だから常に暴力的になるということではありません。

『不安と混乱』

認知症患者は、物事の予測や行動が上手に理解できず、不安を感じることが少なくありません。

その不安から混乱、そして暴言や暴力になってしまうことがあります。

 

『自尊心が傷つく』

認知症の患者は、自分の能力の低下を自覚しているので、何気ない言葉にも自尊心を傷つけられてしまうことがあります。

周囲の方が本人を心配しての言葉でも、かえって自尊心を傷つけ暴力や暴言につながってしまうことがあります。